部落は閉鎖的だと思い込んでいる人が多くいます。部落は部落民が代々住み続けている特殊な地区というイメージです。しかし、実際の部落はそんなところではありません。そもそも現在の日本で自分が生まれたところで一生を終えるという人は、非常にまれです。一生のうちで、何度か転居するのが当たり前となっています。学卒後の就職、結婚、生まれた子どもの成長、転勤などを機に転居することは多くあります。部落でも同じことです。さまざまな理由で部落を出ていく人や世帯が多くいますし、部落に入ってくる人や世帯も多くみられます。
児童・生徒たちにも、転居したことがある経験をもつものがいるでしょう。児童・生徒たちにこれまで何度、転居したかを親に尋ねるよう、指示してみてください。すると、児童・生徒たちは、豊富な転居歴を聞くことになるでしょう。人口の流動化が進んだ現代社会において、特定の人たちが固まって住み続け、人口の移動がまったくないような閉鎖的な地区など存在しないことがわかるのです。
石元清英